第12章 新しいスタート
【 雅紀side 】
秋から冬にかけて、
俺はがむしゃらに勉強した。
今まで生きてきて、こんなに一生懸命になって、勉強したことなんてなかった。
目標があるっていうのは、こんなに頑張れるんだって、俺、初めて知ったかも...
医者になる翔の側で、少しでも助けになれたら...
少なくとも、俺がいることが、翔の心の休まる場所になればいいな...そんな風に思っていた。
翔が行く学校には、当然大学病院があり、
その病院に直結している看護学校があった。
そこは男子学生も多く、もちろん看護学校の中では難しい方な訳で...
でも、そこに行けたら、実習も翔と一緒になるかもしれないし、少しでも翔の側に居ることも出来るんじゃないかって。
他の学校でも構わなかったんだけど。
自分を試したかったんだ、俺。
どこまでやれるか?
限界までなんか、頑張ったことないから...
バスケで鍛えた根性を試したかった。
翔も応援してくれて、
俺たちは一緒に頑張った。
模試も、翔は俺の受ける模試じゃない、所謂難関大学受験者用の模試でも、頭角を現し、成績上位者に名を連ねていた。
俺もだんだん成績が上がり、B~A判定が出るようになり、担任にもお墨付きをもらった。
「雅紀、後少しだから、頑張ろうね」
「うん、翔がみてくれてるんだもん、百人力だよ!」
「でも、雅紀少し瘦せた~?」
心配そうな翔が俺の顔を覗き込む。
「大丈夫!!身軽になってむしろ調子いいよ」
「...今度、美味しものでも、食べに行こう~...体力付けて、受験を乗り切らなきゃ!」
そう言って、翔はふんわりキスしてくれた。
...どんなご馳走よりも、これの方が、ずっと力が付くって♪
翔の舌を受け入れながら、俺はそう思っていた。