第3章 少しずつ、知っていこう
「さん、おはよう。」
『おはよう。』
いつもの、柔らかい彼の笑みだ。
「おはよう日向さん。」
「おはよう千歳くん!」
こっちも相変わらず。
お似合いだと思うけどな〜…
日向さんも結構モテるし、千歳くんはくんもかっこいい。
「おはよー!!」
『……おはよ。』
目の前にいきなり日菜子が現れた。
「何やねん!朝からテンションひっくいなぁ…」
『いつもこんなんです。』
「そういえばそうやった。」
『日菜子はテンション高いな。』
「何があったか聞きたいん!?」
『いや別に。』
「あんな、昨日の帰りに…」
『私の話聞いてなかったやろ。
てかもう予鈴なるで!また後で聞くから!!ほら!』
「よっしゃー!!」
日菜子は自分の席に帰っていった。
(まったく…)
「ははっ!」
千歳くんが笑いながら私の方に振り向いた。
『…どないしたん?』
「さんと高橋さんの会話聞いちょると、テニス部のあるダブルスペアにそっくりやけん!ほなこつおもしろか!」
『…そ、そうなん?』
「謙也と財前にそっくりったい!!」
『お、忍足ぃ…?私やないでしょ?』
「高橋さんが謙也やね。
さんは財前。」
『…その財前くんって…後輩の?』
「あれ?知っとっと?」
『ううん…忍足にも私がその子とそっくりやって言われたから…』
「みんな考えるこつは同じやね。」
また千歳くんは笑ってたけど、私はどういう顔をしたらいいかわからなかった。いや別に嫌ではないけどさ。
そして予鈴がなった。