第5章 project:birth ※R-18
急に、体が震え出した。
息が苦しい。
「マコ」
カインが立って、こちらへ向かって来る。
その表情には憐憫の色が浮かんでいた。
「無理はしないで」
優しく、抱きしめられる。
私は泣いていた。
心底、相手を思う響きを込めた優しい言葉と、
抱きしめられた事で、堰を切ったように、
涙が溢れだした。
「大丈夫。私は、大丈夫、だから」
声の震えを押さえようとして息を吸おうとするが
うまく吸えなかった。
喉の奥が鳴って、しゃくりあげる。
落ち着くまで、カインは抱きしめてくれていた。
私の情緒的反応がかえってカインを刺激したのか、
その後はスムーズだった。
上層部も、正常な精神活動の範囲内だと受けとったようで不問に付された。
初めての夜は、ただただ辛かった。
緊張と恐怖で凝り固まった私の体を、
カインは優しく開いてくれようとしたが
『見られている』という意識が強く、
どうしてもうまくできなかった。
それでも、最後には彼を奥へと受け入れ、
任務を果たす事が出来た。
汗と涙で乱れ切った私の顔を、
冷たい金属質の指で触れた時のカインの表情は、
私の胸を締め付けた。
二日目、三日目と経つにつれ、
私の反応にも変化があった。
「感じる」事ができるようになった。
カインの冷たい四肢、
そこから施される愛撫にも慣れた。
それは交配、生殖には関係の無い事柄ではあるけれど、
私の反応を見て嬉しそうな表情を浮かべるカインを見るのが、
快かった。
元々「何でも」知っている彼にとっては小娘一人、
翻弄する事など容易い事なのだけれど、
『共同作業』なのだという意識が強く芽生えた。