ふらたーなる *Fraternal* 【気象系BL】
第4章 舞賀家物語 1
兄弟…。
兄弟だからイチくんと一緒にいられる。
でも…兄弟だからこそ……超えられない壁がある。
仏壇の母さんの写真を見ながら時々思うんだ…イチくんが女の子だったら…って。
そうしたら少しは…。
思わず零れるため息。
気がつけばさぶくんの車はいなくなってた。
イチくんを連れて帰ったんだろうなぁ。
「はぁ……」
何度目か分からないため息が零れ落ちた。
「なにため息ついてるんだよ?青少年」
聞きなれた声に顔を上げるとそこには案の定、見慣れた濃ゆい顔。
「兄っ………舞賀先生」
慌てて言い直す俺に笑いかける五郎兄。
「二郎ひとりだけなんだろ?
だったらいいよ、普段通りで」
後ろ手で鍵を掛けながら五郎兄が言う。
さりげなく俺の隣に座るとパソコンの画面を見る。
「なに?予算で悩んでんの?」
ため息の原因を探るように聞いてくる五郎兄。
「んなわけないか?
こんなの、二郎に掛かればなんでもないもんな?
それとも昼間の1件?」
「え?
……もう…知ってんの?」
まさか五郎兄の耳に入ってるとは思わなくて…。
ってことは……。