第7章 寵愛(ティキ)
意識が再び遠のく。
もはや痛みは感じていなかった。
まさか自分がこんなヘマをするとは思わなかった。
「トドメくらいさしてけよな…」
いっとき気を失った自分を見て事切れたと勘違いしたであろうあの元帥は再び目を覚ました時にはそこにはいなかった。
ああ、眠い。
だめだ…これはきっと眠気じゃない…
「かっこわりぃ…」
こんなボロボロで、こんな森の奥で1人息絶えるなんてロードに見られたら笑われるだろう。
ふわりと柔らかな香りと暖かな温度。
ドクドクと自分の鼓動を感じる。
なんだか心地が良い。
誰かの声が聞こえた気がしたけれども、それに返事をすることはできなかった。