第6章 まずは触れてから考えよう2(コムイ)
「ありがとう。ここに置いて。」
入口のところで良いと言ったけれど、せっかくなので最後までと言うので自分の机まで運んでもらった。
もらったのは良いけどなんていうか…
「…忙しそうですね。」
「…ありがとう。」
正直改めて見る私の机はお世辞にも綺麗とは言えなくて。優しいフォローが寧ろ辛いというか…
いや、これちゃんと使いやすくなってるんです私には。
「沙優さんの部屋も面白そうですね。」
「見せないからね?」
そんな会話をしながらも、どこか落ち着かなくて。別に、たまたま会って、手伝ってもらって、それだけ。それだけだから、周りの目を気にする必要はもちろんないんだけど…
…室長いないよね。
見られたくない。なんでだろう。でも、見られたくない反面見られたい気持ちもあって。
あ、やめようこれ…。
「じゃあ、沙優さん俺いきますね。」
「うん、ありがとう。」
かけられた声にハッとすれば、優しい目がこちらへ向いてくれている。室長が私を見る時と似てると思うのは私の願望なのだろうか。
去り際にさり気なく手に触れ、その手をそのまま振る彼にこちらも手を振り返す。
撫でられた感触が残ってる。
室長。私、告白されましたけど。
それを知ったら彼は、少しは妬いてくれるだろうか。