第2章 ifの願い(コムイ)●
「あれ、コムイ?その手…」
「やぁ、ラビ。インクの替え方をちゃんと聞いておけばよかったよ。」
インクの詰め替えを見事に失敗し、黒くなった手を洗おうとしてるところにラビとばったり会った。
「オレ知ってんぜ。手ェ洗ったら教えてやるよ。」
「本当〜?助かるよー」
さすがはブックマンjr。
旅先で同じタイプのを見たことがあると続ける彼は頼りになる。
あの後、アレンくんと2人して風邪をひいて婦長にこっ酷く叱られて、色々と頭を冷やして考えることができた。
「…もぅ吹っ切れたんさ?」
ばしゃばしゃと手を洗う横で、落ち着いた声が聞こえてくる。
「うん…まぁ、吹っ切れたっていうか反省してる感じ?もっともっと、たくさん気持ちを伝えればよかった。」
きっと過去にはできない。
したくない。
自分でも不思議なくらい、彼女がAKUMAだった事はどうでも良かった。どうでもいいくらい、好きだった。
「過ちとして一生引きずってく次第だよ。」
笑ってそう言えば、彼はそっかと少し微笑んだ。
空想論は好きじゃない。
けれど、けれどもしも、またどこかで彼女に会えたら、僕らはたくさん話をしよう。
そしてあの手紙の言葉をそっくりそのまま返してやるんだ。
>ifの願い fin