第10章 言霊
(どうすれば逃げ切れる?)
私は自分を取り囲む男たちを見ながら考えていた。
私の使える術は、分身、影分身に、変化の術だけだ。
攻撃系の術は一つも覚えていなかった。
しかも、武器すら持っていない。
(どうしよう?)
男たちを警戒しながら考えていた私は、作戦を思い付いて影分身をした。
男たちの前に怯えた顔の私が三人出現する。
私が術を使えると思っていなかった男たちは驚いて私を見ていた。
その隙に、私は男たちの間を抜けて逃げ出した。
だが、男たちもすぐに私を追いかけてくる。
しかも、私の眼さえ奪えればいいため殺すつもりのようだ。
影分身の二人があっという間に手裏剣で消されてしまった。
そして、最後の一人に向かって、手裏剣が投げられた。
"グサッ"
手裏剣が肉に刺さる嫌な音が森に響く。
"ボフンッ"
たが、手裏剣が刺さると最後の一人だった私も、男たちの前から消えた。
そう、三人とも影分身だ。
私は影分身と同時に変化の術を使うと、ネズミに変化して男たちから逃げていた。
(早く逃げなくちゃ!)
影分身がすべて消された私は、早く遠くに逃げなければと急いだ。