第43章 終末での始まり
sideールミー
私は、オビトの名前に動きを止めたカカシの隙を逃さず、言霊の力を使った。
『…言霊って知ってますか?
言葉が現実のものになるんです…言葉には力が宿っている。
それを利用した術です。』
術にかかって動けなくなったカカシに私はそう説明する。
『先生が隙を見せてくれて助かりました…
言霊の力があっても先生から逃げきる自信はなかったから…』
私はカカシから少し離れたところで立ち止まると振り返った。
『先生…今の私は貴方に勝てるほど強くありません…。
でも、私はまだまだ強くなるつもりです…。
先生も私に追い越されないように頑張って下さいね?』
私はは馬鹿にしているとも取られかねない言葉を残し、再びカカシに背を向ける。
(先生にはオビトを止められる位強くなってもらわなきゃ困るんだ…)
そんな事を思う。
その時、スルリと私の額から何かが地面に落ちた。
落ちた物は額宛だった。
額宛の木ノ葉のマークには横に一本の線が入っていた。
(いつの間に?)
私は額宛の傷に驚く。
私は、額宛に石が飛んできた時の事を思い出した。
(これは予想外だったな…)
私はそんなことを思いながら、額宛を拾うことはせずに歩き出す。
「……まてっ!………ルミっ!!
…行くなッ!!」
カカシの叫ぶ声に歩みを止めないように必死だった。
辛い想いをさせたくない。
そのはずが、今私は自分で仲間を悲しませているのだ。
(ごめん…………でも……、最後は皆で笑おう…)
私は拳を握りしめて進み続けた。
冷たい雨が仲間の涙の様に思えて切なかった。