第39章 雪の国と春
『……それじゃ、ドトウもやっつけたことだし……
…………春を呼びにいきますか!お姫様?』
私はそう言うと驚いている小雪を横抱きにした。
私はそのまま氷壁の中心につくと小雪を下ろした。
『……ほら、ここに六角水晶がはまるようになってるんだ。』
私がそう言うと、小雪は戸惑いながらも水晶を穴にはめた。
「え?何?」
光出した氷壁に小雪が声をあげた。
『……発熱器、貴女のお父さんが春を呼ぼうと作ったんだ。』
私がそう言うと佇む小雪から離れた。
チョロチョロとみずがわき出るなか、私は倒れているドトウのもとへ向かった。
『……はぁ……』
私はため息をつくとドトウに医療忍術を施した。
「……うっ…………お前は…………なぜ?」
ドトウは意識を取り戻すと私に問いかけてきた。
『……あんたにも、春を見せてやろうかと思ってね。』
私はそう言うと氷壁に視線を向ける。
ドトウは不思議そうに私の視線を追った。
私はあお向けのドトウの頭を膝で支えてやる。
その時、氷壁が一際輝いたかと思うと、中心部から一気に緑が広がって行った。
「……暖かい……?」
ドトウが呟いた。
『……春が来たからな……』
私はそう言うと氷壁に映し出された立体映像を見た。
そこでは、幼い小雪が、父に自分の夢を語っていた。
"優しいお姫様になるの!"
小雪の言葉に父が優しく笑う。
"でも、迷ってるんだ……もうひとつなりたいものがあるの!"
小雪の言葉に、父は首を傾げた。
"なんだい?"
小雪の顔を覗くように訪ねる
"あのね!女優さんっ!!"
幼い小雪はそう言って微笑んだ。
「私、あんなこと言ってたんだ……」
それを見て小雪は微笑み涙をながしていた。