第39章 雪の国と春
「フフフフッ」
広間に低い笑いが響いた。
暖かみのない部屋では王座のように高くなった場所でドトウがこっちを見下ろしていた。
「ドトウ!」
カカシがドトウを睨んだ。
「ご苦労立ったな……小雪……」
私はドトウのもとに駆け出した。
「まさか!」
カカシの囁くような驚いた声を背に階段をかけ上る。
雪忍がカカシの行く手を遮ったおかげで、私はドトウのもとへ直ぐにたどりついた。
『……みんな忘れていたようね!
……私は、女優なのよ!』
私がそう言うと、ドトウが笑い声を上げた。
「そう言うことだ。全てはこの小雪が一芝居うってくれたのだ!」
ドトウは私の渡した偽物の水晶を手に笑う。
『……そう……全ては芝居……!』
(それに、一芝居じゃおわらないんだな、これが!)
私は小刀を取り出すとドトウに、突き刺した。
もちろん、チャクラの鎧でキズつかないのは承知のうえだ。
(例え敵でも死なれたくないし。)
そんなことを考えているとドトウに首を捕まれた。
「ネェちゃん!」
ナルトの声に視線を向けると流が目を見開き私を見ていた。
『……分かってたのよ…ナルト……ここに戻って来るときは死ぬ時だって……だから、せめて……』
私の言葉にナルトが悲痛な声を上げる。
「やめろ~!ダメだネェちゃんっ!」
ナルトの叫びに私は微笑む。
『…ナルト……あなたのおかげよ……最後の最後で逃げずにすんだ……』
私はそう言うと、ドトウを台の隅に追い詰める。
「違う!逃げてるのと一緒だ!あんたは死んじゃ行けねぇんだ!」
ナルトの叫びに私は微笑むとドトウと共に台から落ちた。
『……ありがとう……』
落ちる瞬間、ナルトに呟く。
ナルトたちが目を見開いて私を見ていた。
落下したあと、ドトウは煙の中立ち上がる。
私は倒れたままそれを見ていた。
ドトウは着ていた上着を脱いでナイフを投げた。
全員がチャクラの鎧を纏うドトウを見ているなか、小雪だけが倒れたままの私を見ていた。
その目は見開かれ、今にも泣き出しそうだった。
"俺も役者だろ?"
私は口パクでそう言うと小雪にニヤリと笑う。
小雪は驚いたあと、ほっとした顔になった。