第39章 雪の国と春
息を潜めて見ていると、二人の男が小雪をナルトの向の牢に連れてきた。
男たちは、小雪を牢に入れるとその場を去った。
小雪はナルトと違い鎖で吊るされることもなかった。
一般人と忍びの扱いの違いだろう。
「……いい様ね。」
小雪は向の牢のナルトが自分を見ていることに気がつきそう言う。
「……あんたもな……」
ナルトのその返答に、小雪は自嘲気味に答えた。
小「……そうね」
ナ「……春が無いって……何だよ?」
少しの間の後、ナルトが聞いた。
「……春になったら見えるって父は言ってたわ……」
小雪は答にならない答えを返し、どこか遠い目をした。
[諦めなないで未来を信じるんだ……そうすれば、きっと春はくる。]
小雪は優しい父の声を思い出す。
「……でも、この国に春はない……
父が死んでこの国から逃げ出して……
……私は信じる事を止めた……」
小雪の言葉にナルトは下を向く。
「逃げて逃げて嘘をついて、自分にさえ嘘をついて……、こんな自分には女優くらいしかなれるものがなかった。」
小雪の言葉は、私が父のシスイを失ってからに少しかさなった。
ナルトは黙り込むと再びカッターを取りだし、口にくわえて鎖を切ろうとした。
「そんなことしたって、なにも変わらないわ!」
ナルトは小雪の声を無視して鎖を切り続ける。
"カシャンッ"
「あっ……」
ナルトの口から離れ、カッターが落ちた。