第39章 雪の国と春
「ほらね……結局諦めるしかないのよ……」
小雪がそれを見て呟いた。
「…………諦めちまったら、楽なんだろうなきっと……」
ナルトは下を向いたまま呟いた。
「……誰にも相手にされなくて、別にいいやと思ってもなんかスゲー辛くって……
……世の中に俺の居場所何てないんだって気がしてた…………でもっ!」
ナルトはそこで言葉を切ると身体に力を入れた。
「グアァァァァっ!」
ナルトの身体に電流のようなものが走る。
「……諦めるなって、道を示してくれたやつがいたんだ!
……だから諦めなかった!だから仲間が出来て……諦めないで頑張って良いことがあった!」
[あんた、やられてばっかりいないでやり返したら?
ナルト、諦めちゃだめだよ!
ナルトなら火影になれるって、私信じてるからね。
ナ~ルト!一緒にお弁当食べよ!]
ナルトの脳裏に、アカデミー時代、一年間だけ共に過ごした、今はなき友人の声がこだました。
「……諦めたら、夢も何もかも……そこで終わりだぁ~!」
ナルトの頭をイルカやアカデミー時代の級友、第7班のメンバーが過る。
「……ンググググ!」
ナルトが力を入れるたび、チャクラの制御装置が反応する。
「……止めて!」
小雪が思わず叫んだ。
「……あんたの父ちゃんが、三太夫のおっちゃんが!
間違ってなかったことを俺が証明してやるってばよ~!」
ナルトがさらに力を込めた。
「ナルト……!」
小雪は目を見開きナルトを見つめた。
「うわぁ……」
ナルトはとうとう鎖を引きちぎった。
「……今助けてやっからよ……」
ナルトはふらりと立ち上がると牢の鉄格子を掴んだ。
「うわぁぁぁぁぁ!」
その瞬間、鉄格子に張られた札のせいで電流が流れ、ナルトは意識を失いその場に倒れた。