第33章 紅い千鳥
「……流、それどうしたの?」
カカシ私に近づいてきた。
『……先生の真似して雷切練習したんですけど、どうしても威力が上がらなくて……それで火の性質変化を加えて見たんです。』
私がそう言うと、カカシが目を見開いた。
「……それって……」
カカシが呟いた。
『はい……血継限界です。』
私がそう言うと、カカシが深刻そうな顔になる。
カ(だから流は砂の里で命を狙われていたのか?
大蛇丸が呪印をつけたのもこのためか……)
カカシが考えにふけるなか、サスケは悔しがっていた。
『……サスケ、サスケなら出来るよ!あせるなって!』
私はサスケにそう言う。
サス(クソッ!俺はどうして流にかなわない!)
だが、今のサスケには、ルミと被る流の言葉が余計に自分を苛立たせていた。
サス(オレは強くならなければならないんだ!)
自分が弱いからルミを助ける事ができなかった。
流の言葉がそのルミを思い出させ、サスケを苦しめた。
「こんなんじゃ、アイツに復讐できない……」
サスケの呟きが私の耳に届いた。
『……サスケ、お前に復讐何てさせない……
……憎むことを止める自分を許してやれよ?』
私はサスケを真っ直ぐ見つめてそう言った。
サスケは驚いたあと、苦い顔をした。
「お前に何が分かる!」
サスケが私を睨んだ。
『……他人の苦しみはいくら分かったつもりになっても、本人にしかわからない……
俺には想像することしかできない……
……だけど、嫌なんだよ!
誰かが苦しむのが嫌なんだ!!
サスケは復讐したあと、絶対後悔する!
俺はそんなの嫌なんだ!!』
私が怒鳴るように言うと、サスケとカカシが驚いた顔をして見ていた。
カ(流がここまで感情を出したのはじめてじゃないか…?)
カカシはそんなことを思いながら流の事を見て、更に驚いた。
私は、驚く二人に顔を凝視され、頬を伝うものに気づいた。
感情が高ぶりすぎたのか、涙が流れていた。
「……っ……」
サスケは気まずそうに私から視線を反らすと修行に戻った。
その日から私はなんとなく気まずくなり、中忍試験の本選でまでサスケと会うことを控えた。