第32章 中忍試験~第三試験予選~
「どうして、どうしてさっきから術を使わないってば?」
メンマは私が得意の瞬身どころか、他の術を使わないことを疑問に思ったようだった。
「流は、私を認めてくれないってば?」
そう言ったメンマは泣きそうな顔をしていた。
(あちゃー、そう言う訳じゃないんだけど……)
まさか術を使うと呪印が暴走するかも知れなくて、例え暴走しなくても変化が保てなくなるかも知れないから術を使わない何て言えるわけがなかった。
『メンマ、油断しちゃだめだぞ!』
私は覚悟を決めると、そう言って印を結んだ。
『火遁・鳳仙火』
私が術を放つとメンマは驚いた顔をしたが、すぐに避けて嬉しそうな表情になった。
『……ぐぁっ。』
私は、地面に膝をついて首筋を押さえた。
「流?」
メンマが私の様子がおかしいことに気付き名前を呼ぶ。
「先生、どうしよう、やっぱり流、術を使うと呪印が……」
二階でサクラのこえがした。
私が顔をあげると、メンマが目を見開いていた。
「流、私が術を使わないのどうしてって言ったから……」
サクラの言葉がメンマにも聞こえてしまったようで、自分を責めるように呟く。
『大丈夫だ。
早く、続きをやるぞ!』
私は立ち上がると苦無を構えた。
「え、でも……」
メンマはまだ戸惑っていた。
私は、仕方なく苦無でメンマに切りかかる。
『ほら、遠慮している暇はないぞ!』
私がそう言うと、メンマはようやく頷いて苦無を構えた。
しばらく、私とメンマの苦無でのこうぼうが続いた。 私は、戦ううちにあることに気付いて、メンマと距離をあげると手を上げた。
『審判さん、降参です。』