第32章 中忍試験~第三試験予選~
『審判さん、降参です。』
私がそう言うと、会場がざわめいた。
メンマも驚いた顔をしている。
お互いに降参するような場面ではなかったから当然だろう。
二階からはナルトの叫び声が聞こえてくる。
「え、えー、勝者メンマ!」
ハヤテが戸惑いながらも勝敗を告げた。
「どうして?」
メンマが私に駆け寄ってくる。
『メンマ、遠慮し過ぎ!
まぁ、メンマ自信も気付いてなかった様だけと……
メンタルブロックて奴かな……
メンマ、術も使わなくなるし、攻撃も当てる気なかったろ?』
私が苦いしながらそう言うと、やはりメンマは自分が遠慮していたことに気付いてなかったようで、驚いた顔をした。
そして、悔しそうにうつむく。
『まっ、手合わせだったら試験じゃなくても出来るだろ?
そのとき本気を出してくれればいいさ!』
私は落ち込むメンマの頭に手を乗せるとそう言って微笑んだ。
「……ッ!!
流!やっぱり惚れるってばね!!」
メンマは顔を上げ嬉しそうな顔をしたあと、私に飛び付いてそう言ってきた。
(メンマ、私が女だって知ってるよね?)
私はメンマの言葉にそんなことを思いながら二階に戻った。
「流!お前、本当にあれでいいのか!?」
二階に戻った私に、ナルトが話しかけてきた。
どうやら降参したことが気に入らなかったらしい。
私は苦笑いしながら降参した理由を話した。
その理由に、ナルトはまだ不満げだったが黙りこんだ。
「流、お疲れ様!
疲れてるとこ悪いけど、ちょっと着いてきてもらうよ!」
ナルトの話が終わると、私の背後からカカシが話し掛けてきた。
「これから、奥に行って呪印を封印する。」
カカシが私の肩に手をかけ、耳元でこっそり告げる。
『うわぁぁ!
……ちょっと!先生!!耳元で、その無駄なまでのエロボイスで囁くの止めて下さい!』
私は突然耳元で喋られて、耳を擦りながら言う。
初めてカカシの声を聞いたときはオッサン見たいな声だな~、何て思っていたが、最近は何故か無駄に色気を感じてしまっていた。
もちろん、それに気付いたときは自分はオジ専になったのかと落ち込んだ。