第29章 運動会と家族
「おーい、お前ら、休憩だヨ。」
午前の部最後の競技が終わり、道具を片付けていると、カカシが私たちを呼びに来た。
『わかりました!今行きます。』
私は返事をするとナルトたちと共に休憩のテントに向かった。
テントに着くとアカデミーから支給された弁当を配られる。
「俺ってば、ラーメンが食いたいってばよ!」
ナルトはそう言いつつ弁当を食べる。
「あんた、昨日の昼もラーメンだって言ってたでしょ!?」
サクラは呆れたようにナルトを見る。
私はそんな二人の会話をききながら、周りの学生を観察していて、ふと前世の運動会を思い出していた。
(私の運動会、誰も来てくれなかったっけ。)
母親は何故か来てくれなくて、父親は浮気相手の子供、つまり私の従姉妹の運動会に参加していた。
何でも、親子リレーに参加するためだったと聞いた覚えがある。
(血が繋がった母親がいるんだから、そっちのほうが走ればよかったのに。)
今思い返すと、父親がわざわざ親代わりに走った意味がわからない。
そのまえに、私も親子リレーがあった。
私のところには誰も来てくれなかったけれど…。
私は楽しそうに弁当を広げる家族を見て、一人で食べたメロンパンを思い出した。
(弁当すら作ってくれなかったんだっけ)
私は前世を思い出したあと、この世界で自分の両親だった二人を思い出す。
(あの二人だったら来てくれたかな?)
私は今は亡き両親を思い出して、胸の辺りがキュウッとするような感覚をに首をかしげた。
もやもやしたような感覚を追い払おうと、私はナルトたちに視線を向けた。