第28章 Aランク任務?
「なーに泣いてるの?」
隣から聞こえた声に、私は驚いて振り返った。
そこには口にタオルを巻いたカカシがいた。
(嘘っ!ヤバい!)
私は一人だと思っていたのにカカシがいることに動揺する。
幸い、今回はカカシも湯に浸かっているため肩の辺りしか見えない。
だが、夜中に二人きりで風呂に入っている事実は変わらない。
(いくら変化してても、中身は乙女なのに~)
私は心の中で叫んでみるが状況が変わることはない。
カカシは、慌てる私の横で顔を覗き込んでくる。
ナルトが寝たのを確認したカカシは隣の部屋から人が出る気配に布団を出るとあとをつけた。
そして、風呂に入って行く教え子の後から風呂に入って行くと、空を見上げている。
音もなく近くと、その頬を涙が伝っていた。
黙って涙を流すその姿は悲しくて何とかしてやりたいと気付いたら声をかけていた。
「何かあった?」
カカシは慌てている私に聞いてくる。
『な、何でもないです。』
私はそう答えると慌てて風呂から上がろうと立ち上がる。
「何でもなくて泣くわけないでしょーよ?」
その場を去ろうとした私は、そう言ったカカシの手に手首を掴まれ、再び湯の中に戻っていた。
「正直にはな~して?」
カカシはルミの悲しい顔を見てしまったせいで、理由を聞かずにはいられなかった。
私は、理由を話すまでで風呂から出れないとさとりため息をついた。
(最悪、こんなことになるなんて。Dランク任務どころかAランク任務だ……)
私は、今の状況の危険さにそんなことを考える。
(まぁ、ブツを見ちゃった時点できっとAランク任務以上の被害があったけど。)
心の中で失礼なことを思う。
「流?」
そんな私に、カカシが話を促すように優しく呼び掛けた。