第27章 生かす強さ
翌日、私はゆっくりと起き上がり布団から抜け出した。
まだ、朝早いため起きている者はいない。
私は痛みに耐えながらタズナの家を出ると、橋へ向かった。
橋は、少し崩れたところを除けば、ここで戦闘があった痕跡はもう残っていなかった。
(ハクと再不斬は助けることが出来たけど、たくさん人が死んでたな……)
私はガトーやその手下達を思い出す。
(あの人達も、死なせずに何とかする方法はなかったのかな?)
そんなことを考えながら目を閉じる。
私は両手を合わせ、彼等の冥福を祈った。
カ(抜け出して何をするのかと思えば……)
ルミが家を出たことに気付いたカカシは、とうとうルミが動き出したと考えて後をつけた。
だが、尻尾をつかんでやると思っていたカカシはルミの予想外の行動に驚いていた。
カ(あんな敵にまで情けをかけるのか……、一体、何処まで優しいんだか。)
目を閉じ両手を合わせるルミを見てそんなことを考えた。
その時、ふと気配が増えてルミの隣にハクが表れた。
「おはようございます。」
ハクはルミが祈り終えたのを見て声をかけた。
『あ、ハク!おはよう』
私は、ハクに声をかけられて挨拶をかえした。
「貴方は、本当に優しいんですね。
貴方のおかげで、ボクも再不斬さんも救われました。命だけでなく、大切なものも……。」
ハクはそう言って橋を見た。
「きっと、亡くなった彼等も、今貴方に救われたと思いますよ?」
ハクはそう言って私を見た。
『……ありがとう。』
(本当に優しいのはハクだよ。……私のは自己満足、ただのエゴ。)
私はハクにお礼を言いながらそんなことを考えていた。
すると、いきなりハクが私の腹に手を当てた。
そこは傷のあるところで、徐々に熱を持ち始める。
『ハク?』
私はたずねるようにハクの名前を呼んだ。
「お礼です。完全には治っていませんが。」
ハクの言葉に、私はお腹の痛みがほとんどなくなっていることに気が付く。
「ボクは、少しだけなら医療忍術も使えるんです。」
そう言ってハクは微笑んだ。
『ありがとう!』
私もハクに微笑みかえした。
「いえ、それではこれで。」
ハクはそう言ってその場を去って行った。