第27章 生かす強さ
(痛い…。)
目を覚まして真っ先に思ったことはそれだった。
(でも、二人を助ける事ができた。)
私は意識を失う前のことを思いだしてほっとした。
次に、変化の術が解けていないのを確認して安心する。
私は今の状況を把握しようと回りを見た。
場所はタズナの家のようだ。
外は橙色で夕方なのだろうと予測した。
(思ったより時間たってないのかな?)
意識を失ってから数時間しかたっていないようだ。
「流!目が覚めたのね!!」
私がほっとしていると、ドアを開けて入ってきたサクラが声を上げた。
「今、先生呼んで来るから!!」
サクラは私に声をかける暇も与えず引き返して行った。
「流、起きたのか。調子はどうだ?」
サクラに呼ばれて部屋に入ってきたカカシは松葉杖をついていた。
(また写輪眼の使いすぎか…。)
1週間ほど前にも見たその光景に私は心の中だけで苦笑する。
『大丈夫です。腹痛くて、起き上がりたく無いですけど。』
私は布団の中で顔だけカカシに向けて言った。
「ごめーんネ?…でも、いきなり飛び出してきたお前も悪いのよ?」
カカシは布団の横に腰を下ろし、私の顔を覗き込んでそう言った。
『分かってます。……それより、先生、もう動けるんですか?』
私は前回より回復の早いカカシにそう訪ねる。
前のチャクラ切れのときはもっと寝込んでいたはずだ。
カカシは私の言葉に首を傾げた後、何かに納得したように、あぁ、と言った。
「ガトーが来たのは昨日だ。つまり、お前は丸一日とちょっと寝ててたんだ~よ!」
カカシがおどけて言った。
(数時間じゃなかったんかい!?)
私は自分の予想と違い意識を失っていた時間が長かったことに驚いた。
「それより、流、目覚めて早々悪いけど、オレ、お前に聞きたいことがあるんだよね~」
カカシはそう言うと、今までのとぼけた様な顔から忍びの表情になる。
(それでサクラやナルトが来なかったのか。)
私は、今さらこの部屋にカカシしか来なかった理由に気づく。
仲間を大切にするあの子達は私が目をさましたら絶対にここに来たがっただろう。
(サスケはあまり態度には出さないだろうけど。)
私はそんなことを思いながら、カカシが何か理由を付けて置いてきたのだろうと考えた。