第27章 生かす強さ
「黙れ小僧。ハクはもう死んだんだ。」
再不斬はナルトを見ずにそう言う。
「あんな事されて何にも思わないのかよっ!?お前ってば、ずっと一緒だったんだろ!?」
ナルトは憤慨したように叫ぶ。
(みんなハクが死んだと思ってるよ…寝てるだけなのに。)
私は勘違いさせるためにわざと仮死に近い状態にしたくせにそんなことを思う。
「ガトーが俺を利用したように、俺もハクを利用していただけの事だ。
言ったはずだ。俺達忍びはただの道具だ。
俺が欲しかったのはあいつの能力で、あいつ自身じゃない。未練は…ない!」
再不斬がそう言うとナルトの声が低くなった。
「お前ってば、本気でそんなこと言ってんのか?」
再不斬を睨むナルトをカカシが止めた。
カ「止めろナルト。もうコイツと争う必要はない。それに…。」
ナ「うるせえ!!俺の敵はまだコイツだ!!」
ナルトはカカシの葉を遮って、再不斬を指差して怒鳴る。
「あいつは、あいつはなぁ、お前の事が本当に好きだったんだぞ!あんなに大好きだったんだぞ!
それなのに、本当に何にも思わなかったのか!?
本当に、本当に何にも思わねぇのかよっ!?
お前みたいに強くなったら、本当にそうなっちまうのかよ~!
あいつはお前の為に命を捨てたんだぞ!!
自分の夢も見れねえで…、道具として死ぬなんて………
そんなの、そんなの………
辛すぎるってばよぉ………。」
ナルトは始めは怒鳴っていたが最後は泣きながら言った。
「 小僧………それ以上は、何も言うな。」
振り向かずにそう言った再不斬の声は震えていた。
「ハク…、あいつは俺だけじゃない、お前らの為にも心を傷めながら闘ってた…。
俺にはわかる。あいつは優しすぎた。」
再不斬は口に巻いていた布を噛み切る。
「小僧、結局はお前の言う通りだった。
忍も人間だ。感情のない道具にはなれないのかもな。あいつの言ってることも只の綺麗事じゃないのかもな。
…俺の負けだ。」
再不斬はそう言ってナルトから苦無を口で受け取った。