第27章 生かす強さ
『それに、そろそろ戦う理由はなくなる。』
私の言葉に、再不斬とカカシが反応した。
「どういうことだ?」
再不斬がそう言った。
『ガトーが裏切る。二人を殺しにくるよ。』
私はそう言うと、がくりと片膝を着いた。
再不斬を庇った時に受けた雷切が効いていた。
何とか耐えていたがそろそろ限界だった。
再不斬を押さえる砂が少しずつだが崩れていく。
「流!?」
カカシが私の異変に気付き、私のとなりに屈む。
『大丈夫です。それより………、来ましたよ。』
私はそう言って視線を橋の向こうに向けた。
「ガトー!」
現れた人物にタズナも気付いて声を上げた。
「ガトー、どうしておまえがここにいる?」
いつの間にか私の砂縛牢が消え、自由になった再不斬がガトーを睨みつけた。
「お前を始末しに来たに決まっているだろ?
お前に金を支払うつもりなんて初めから毛頭ないからねぇ。
正規の忍を里から雇えばやたらと金がかかる上、裏切れば面倒…、そこで、だ、あとあと処理しやすいお前たちのような抜け忍をわざわざ雇ったんだよ。
忍者同士の討合いで弱ったところを数でもろとも攻め殺す。金のかからんいい手だろう?」
ガトーはそう言ってにやりと笑う。
「ま、一つだけ作戦ミスがあったといえば、お前だ、再不斬。霧隠れの鬼人が聞いてあきれるわ。なんだその様は?
私から言わせりゃあなんだ…クク、ただのかわいい小鬼ちゃんってとこだなー?」
ガトーの言葉に再不斬がギリギリと歯を鳴らす。
「カカシ、すまなかったな。戦いはここまでのようだ。」
再不斬の言葉に、カカシは驚く。
「タズナを殺す理由がなくなった以上、お前と殺り合う理由もなくなった。…そいつの言った通りになったな。」
再不斬が私を見る。
「………あぁ、そうだな。」
カカシもそう言って私を見た。