第27章 生かす強さ
"ガシッ"
私は蒼い光を走らせているカカシの腕を両手で掴んだ。
それでも力負けして、自分の体を盾にして再不斬を庇った。
「流!?」
カカシは自分の手を両手で押さえ、それでも腹に雷切を食らっている教え子を見て驚愕した。
「何のつもりだ!?」
再不斬も驚いたようで、チャンスだというのに固まって私を見ている。
だが、すぐに我に返り、私たちに刀を振りかぶった。
その瞬間、私はカカシの腕を腹から抜いて振り返った。
『砂縛牢!』
私が術を発動すると同時に、何処からともなく砂が集まり、再不斬を捕らえる。
私は、砂を操り再不斬の手足の自由を奪った。
「流、お前は一体どういうつもりだ!!」
カカシが普段よりも低い声でそう言った。
再不斬への攻撃を止めたと思ったら、次は再不斬を捕らえた。
敵なのか味方なのかわからないルミの行動に疑問を持つ。
『先生、俺たちの任務はタズナさんの護衛です。再不斬を殺すことじゃない。』
私はカカシにそう言った。
「………。」
私の言葉にカカシは無言になる。
カ(確かに言っていることは的を射ているが……)
思いもよらない教え子の言葉にカカシは何と言えばいいか分からなかった。
「綺麗事だな。」
囚われの身だと言うのにも関わらず、再不斬がそう言った。
『…綺麗事だとは思いませんけど?』
私がそう言って再不斬を見ると眉を寄せて私を見てきた。
『だって、俺は親切で殺さない訳じゃない。俺が殺したくないから、あなたやハクが死んだら悲しいから、自分のために殺さないんです。
…どちらかというと、エゴですよ。』
私がそう答えると、再不斬とカカシが息を飲んだ。
カ(この子は、今までどんな生き方をしてきたんだ?)
カカシは聞き方によっては自己犠牲に聞こえなくもない気がして、そんなことを考える。