第27章 生かす強さ
ハ「僕の母は血族の人間でした。それが父に知られてしまった………
気づいたとき僕は、殺していました…
実の父をです!!
そしてその時僕は自分のことをこう思った、いや…そう思わざるを得なかった。そしてそれが一番辛いことだと知った…。」
ナ「一番辛いこと?」
ナルトは、ハクの話しにおうむ返しにきく。
ハ「自分は…、この世にまるで必要とされない存在だということです。」
ナ「!!」
(…、俺と、同じだってばよ………)
ハ「君は僕にこう言いましたね?里一番の忍者になってみんなに認めさせてやる。もし君を心から認めてくれる人が現れた時、その人は君にとって最も大切な人になりえるはずです。
再不斬さんは僕が血継限界の血族だと知って拾ってくれた。
誰もが嫌ったこの血を…好んで必要としてくれた…」
ハクの口からポロポロと言葉が、想いと共にこぼれ落ちる。
「…嬉しかったっ………!!」
ハクは涙を含んだ声でそう言うと、まるで幼子のような顔で涙を流した。
同時に私の目からも涙が流れ落ちる。
(ハクは幸せに出来る!再不斬を助ければ、再不斬がハクの想いと自分の心に気が付けば!)
私は涙を流しながら絶対作戦を成功させる、と拳を握った。
ハ(すみません再不斬さん…
僕はあなたの求めた武器になれなかった)
ハクは瞼を閉じて涙を流した。
そして、その瞳を開けた時ハクは決意ができたようにナルトを見た。
「ナルト君、僕を………殺してください。」
ナルトは呆然とハクを見つめた。
ハクは私が殺さないと分かると、ナルトにそう言った。
「早く殺して下さい!何を躊躇しているんです!」
ハクは呆然とするナルトに言った。
だが、ナルトは拳を作ってハクを睨んだ。
「納得いかねえ!強いやつでいるってことだけが、お前がこの世にいていいっていう理由なのかよ!」
ナルトは怒りと悲しみがない交ぜになって叫ぶ。
「闘うこと以外でだって何だって、他の何かで自分を認めさせりゃよかったはずだろ…。」
ナルトの声色は徐々に悲しみの色が強くなる。
「君と森で出会った日、君と僕は似ていると、
そう思いました。君にも分かるはずです。」
ハクが説得するように言う。
ナルトはその言葉に勢いよく顔を上げてハクを見る。
ハクは森で会った時と同じようによ綺麗に微笑んだ。