第27章 生かす強さ
「僕は霧の国の雪深い小さな村に生まれました。」
ハクは過去を、雪の降る国を、両親の笑顔を思い出す。
ハ(幸せだった。本当に優しい両親だった。)
「何があったんだってばよ?」
ナルトの声に、ハクは悲しそうな顔で私とサスケを見た。
「血…。」
ハクが小さく呟いた。
「え?」
ナルトが聞こえずに聞き返す。
「この血…。」
ハク真っ直ぐとナルトを見てはっきりとそう言った。
ナ「だから!その血が何だって言うんだってばよ!」
ナルトが訳がわからないと叫ぶ。
が、サスケの方は何かに気付いたのか黙ってハクを見ていた。
「父が母を殺し、そして僕を殺そうとしたんです。」
その言葉にナルトは驚きを隠せず息を呑んだ。
サスケの脳裏には、四年前のあの事件が過る。
ハ「絶え間ない内戦を経験した霧の国では血継限界を持つ人間は忌み嫌われて来ました。」
ナ「ケッケイゲンカイ…!?」
ハ「僕のような特別な能力を持つ血族の事です。そこの二人もそうみたいですね。」
ハクはナルトの疑問に答えると、そう言って私とサスケを見てから説明を続けた。
「その特異な能力のため、その血族は様々な争いに利用されたあげく、国に災厄と戦禍をもたらす汚れた血族と恐れられたのです。
戦後、その血族達は自分の血のことを隠して暮らしました。その秘密が知られれば必ず死が待っていたからです。」
一通り話し終えるとハク辛そうに瞳を固く閉じた。