第26章 木登りとサクラと修行
ナ「うっせぇな、お前とは違うんだよ。」
イ「黙れよ!お前を見てるとむかつくんだよ!
この国のこと何にも知らないくせにでしゃばりやがって!辛い事なんて何にも知らないで、いつもヘラヘラやってるお前とは違うんだよ!」
イナリのその言葉は、私の知る原作通りだった。
そして、私が感じたことも原作を初めて読んだときと同じだった。
「だから悲劇の主人公気取って、ビービー泣いてりゃいってか?
お前みたいなバカは、ずっと泣いてろ。泣き虫やローが!!」
ナルトが怒りを露にイナリを怒鳴った。
「ナルト、ちょっと言いすぎよ!」
サクラがナルトにそう言うが、ナルトは席をたってしまう。
『でしゃばってもなにも、俺たちは任務をこなしてるだけだぜ?』
私はイナリを見て言うと、さらに言葉を繋げた。
『それと、お前さ、父親が死んだくらいで自分が不幸だとでも思ってんの?』
私が笑いながらそうたずねるとイナリが目を見開く。
いや、その場にいた全員がそうしていた。
『世の中にはなぁ、片親どこか両親なくして、それでも明るく生きてる奴もいるんだよ。両親がいても愛されずに虐待を受けてるやつ、産まれた時から親の愛情も知らずに過ごしてる奴も腐るほどいるんだよ。
……それでもお前、自分が不幸だと思うの?』
私の言葉に、その場が沈黙する。
『まぁでも、大切な奴が死んだら辛いよな。』
言いたい事を言ってすっきりした私はそう言ってイナリを見る。
不幸ぶるイナリを見ていてムカついたのは事実だが、イナリの悲しみが辛いと思ったのも事実だ。
『イナリ、父親が死んだ不幸より、お前を愛してくれるタズナさん、ツナミさんがいる幸せを感じろ。自分が幸せだと思えば、どんな環境でも、幸せになれるんだ。』
私はそう言ってイナリを撫で、外に出た。
なんとなく、その場に居づらかった。
カ(アイツも何か抱えているのか?)
外に出て行くルミを見ながら、カカシはルミの言葉を思い出して考えていた。
カ(アイツは沢山の闇を見てきたようだな……)
カカシはため息をつくと席をたってしまったものたちを追った。