第26章 木登りとサクラと修行
その日の夕方タズナ家で、夕食が始まろうとしていた。
「遅いわね。ナルトはともかく、サスケくんまで……」
サクラが呟いたとき、ドアが開いた。
そこには、サスケと、サスケに支えられているナルトの姿があった。
「なんじゃぁ、おめぇら。超どろどろのばてばてじゃな。」
帰ってきた二人の様子にタズナが言う。
「へへへ。二人ともてっぺんまで登ったぜ!」
ナルトがそれにそう言って笑った。
「よし。ナルト、サスケ、次からお前らもタズナさんの護衛につけ。」
カカシはそれを見てそう告げた。
カカシの言葉にテンションを上げた。
そんな二人をイナリが複雑な表情で見ていた。
そして、夕食が終わった頃……。
タ「後超もう少しで橋も完成じゃ。あんたらのおかげじゃよ。」
ツ「だからって、あんまり無理しないでね。」
ツナミは夕食の後片付けをしながらタズナを案じる。
「前々から超聞きたかったんじゃが、わしが任務の内容を偽ったのに、どうしてここにいてくれるんじゃ?」
タズナが聞いてきた。
「義を見てなさざるは勇なき也。
勇将の元に弱卒無し。」
カカシのその言葉にタズナとツナミは首を捻る。
(国語でやったな~、平家物語。)
私は覚えのあるフレーズに前世の学校で受けた授業を思い出す。
「先代の火影の教えです。」
カカシはそう言って意味を説明する。
その言葉を聞いてか、イナリの目に涙が溜まっていき、とうとう溢れ零れ落ちた。
「なんで……。」
イナリは小さな声で呟いた。
だが、ナルトはその声を聞き取った。
「なんだ?」
ナルトはそう言ってイナリを見た。
イナリはテーブルを叩きつけながら、立ち上がった。
「なんでそんなになるまで必死になるんだよ!修行なんかしたって、ガトーの手下になんか敵いっこないんだよ!
いくらカッコいいこと言って、努力したって、本当に強い奴の前じゃ、弱い奴はやられちゃうんだ!!」
イナリが叫びその場が静まる。