第1章 不満じゃないけど……
帰り道。
一緒に帰るのが、わたし達の日課というか、習慣、というか、暗黙の了解というか………。
まあそういうわけで、一緒に帰ってます。
恋人らしいこと、っていったらこれくらいしかしてない。
会長はわたしの一歩先を歩く。
会話もほとんどしない。
いつもなら、あっという間にわたしの家に着いて〈じゃあまた明日〉なんだけど、今日のわたしはひと味違う。試してやるんだ!
さりげなく会長の隣に並ぶ。
でも、それに気づいた会長は少し歩調を速め、またわたしの一歩先を行く。
こ、こうなったら!
わたしは無防備にしてある彼の右手をぎゅっと握った。