第5章 言えなかった
「ふーん………、飽きられた、ねぇ……」
帰り道。
わたしが悩み事相談を有馬相手にしていると、有馬が腕を組んでふーん、と興味なさげに相槌を打つ。
でも、そんなの気にしない。
『だって、わたしより可愛い子なんて山ほどいるし、会長にはもっと大人っぽくてしっかりした人の方がいいんじゃないかな、って』
「俺は可愛いと思うけど?」
『へ?』
「だったらさ、もう別れろよ。そんで、俺にしとけよ」
何を言うかな、こいつは!
意味わかんないんだけど!
ってか、わかりたくないし!!
『あ、有馬!?い、いいい、一旦落ち着こうか!!』
まずはわたしが落ち着けよ、と自分でも思う。
「はっ、ばぁか」
『んな!?ばか!?』
「誰がお前なんか彼女にするかよ。こっちから願い下げだっての。なーに、本気にしてるわけ?ウケるんだけどー」
『あーるーまぁ!!!』
わたしがめちゃくちゃ怒ると、有馬が余計に楽しそうに笑った。
「そーそー。お前はそうやってればいいの。らしくなく落ち込んでんじゃねえよ」
『あ、有馬………!』
どうしよう!
初めて有馬がいい人に見えた!!