第24章 戦士の安らげる場所〜麻雀牌は愛を語る編〜
ニヤリと笑うトド松、その手に何かを持っていた。
「この間、可愛いキャンドル買ったんだぁ!見せてあげるー」
キラキラした笑顔で、キャンドルという名のピンク色の蝋燭を僕の目の前に差し出す。
おそ松がパチンと指を鳴らせば、蝋燭の先にぽっと火が灯る。
「あーっと滑っちゃったァー」
ニヤニヤと笑って、トド松の手にぶつかるおそ松、なんという合わせ技だろうか。
そのせいでトド松の手元が狂い
「うわちいいいぃぃぃ!!」
溶けたロウが僕の肩にかかって、えもいえぬ痛みというか快感というか、てゆうか嬉しくない!
「ごめーんチョロ松、お兄ちゃんわざとじゃないよー?」
「ごめんね、チョロ松兄さん、僕ただキャンドル見せてあげようとしただけなんだよ?」
絶対わざとだろ!わざとの何者でもないだろ!
嬉しくないんだよ!
そうだよ、こんなプレイされるなら...
いや、ダメだチョロ松!
今鈴音ちゃんは、天使なんだ。
可愛くて、無垢でフワフワでモチモチでプリプリしていて...
なんか食レポみたいだな。
ともかく、そんな可愛い天使を僕の汚い欲の対象にしてはいけない!
「く、この身がライジングしようとも、僕は!僕は!」
そんなよくわからない覚悟を決めた瞬間だった。
バンッと勢いよく扉が開く。
長いシルエット、そろそろヴァンパイアという設定を忘れつつあるはずなのに、そのシルエットは長いマントを身にまとっている。
バサりと揺れるマントが、背後の大きいライトに照らされて、ミラーボールみたいに輝きほとばしっている。
誰がこんな大掛かりなセットを作ったのか、その場の全員が口をポカンと開けた。
「待たせたなブラザーー!」
ギンギラギンの悪趣味なマイクからエコーがかかって、重音が響いた。
なんだっていい声してんのに、こんな無駄遣いをするんだろう。
自分で言っといてなんだけど、なんでだか、自分の胸にもグサッとくるセリフ...
「「いや、全く待ってない」」
吊るされた僕、吊るした2人、なんかよくわかんない1人全員が一致団結したセリフを言った。