第23章 3時のおやつは愛をこめて
ふあふあのオレンジ色のシフォンケーキに、真っ白なとろけるクリームがとろりとかかる。
「すっごい美味しそう!」
はしゃぐ姿に目を細めれば、はやく食べようと急かす可愛い天使。
「鈴音ちゃん、飲み物は何がいい?」
「えっとね、紅茶!」
年のわりに、大人な趣味だななんて思いながらもお湯を沸かす。
「鈴音ちゃんは、紅茶好きなの?」
ぼこぼこと気泡が浮き出るお湯をポットに入れて、ポットを温める。
「うん!だってアリスの飲み物だもん!」
可愛らしい理由に、また緩む頬。
お湯を捨ててスプーンに3杯、紅茶の葉を入れる。
お菓子と一緒に紅茶の入れ方も勉強済みな僕。
我ながら感動する。
「あれ、ねぇ?一つだけ不思議なんだけど」
くるりと逆さまに砂時計を置きながら、なに?と答える。
「お菓子作り始めたのは、最近なんだよね?それであんなに上手く卵って割れるの??」
幼い眼力を舐めてた。
まさかそこに着眼点を持ってくるなんて、小さい頃から鈴音ちゃんてあれだったんだな。
うん、言葉で表現できない感じね。
「え、えーと、われ、われ、われるよ!」
「チョロちゃん嘘ついたー」
見抜かれた!?
なんで、どうしてわかったの?僕が嘘ついてることが!
なんでだかわからないんだけど、僕が嘘をつくと皆わかっちゃうみたいなんだよね。
だから嘘がつけないわけなんだけど...
「ねぇ?教えて?」
ニコニコと笑われたらもうたまらない。
まぁ、さっきの告白をよりかはそこまで恥ずかしい事じゃないけど。
ちょっと顔を赤くしながら、ポツリと答える。
「ガラクタばっかりの城に住んでる、炎を従えた金髪の魔法使いの卵の割り方がかっこ良かったから、練習したんだ」
そう言った瞬間、バカ笑いがキッチンに響いた。
「なにそれ、チョロちゃん!お兄ちゃん知らなかったなぁ!だーっはっはっ!」
「おい、いつの間に湧いて出やがったクソ長男」