第23章 3時のおやつは愛をこめて
「ところで、チョロちゃん?なんのお菓子を作ってるの?」
首を傾げる鈴音ちゃん、どうやら僕は鈴音ちゃんのこの小首を傾げる仕草に弱いらしい。でも、今は内緒だよ。
「ふふっ、あててごらん?」
「ええー!なんだろ!なんだろ!」
んーっと両手を組んで、一生懸命考えこむ仕草に頬を緩める。答えてあげたくなるけど、それじゃあ面白くない。
「んん、わかんない!教えて?」
あぁ、またそんな可愛い顔しちゃって。
なんて悪い子なんだ。もう負けちゃいそうだけど、それでも内緒。
「ほら?頑張って?」
「んん、わかった...えっとねぇ...」
考えこむ鈴音ちゃんの横で、分厚い本をパラリパラリとめくる。
初めて作ったけど、これで大丈夫かな。
そんな不安を抱きつつ、特殊な型に生地を流し込む。
「あっ!それなんか見た事ある!」
パアっと顔を輝かせて、何かを閃いたような顔をした後に、またすぐに困った顔をする。
「わかった?鈴音ちゃん?」
イスの上で立っていた鈴音ちゃんを、抱き上げて降ろしながら意地悪な質問をする。
もう少しなの、もう少しでわかりそうなのなんて、可愛らしい声でいう。
「ここまででてるんだけどねー、わかんないの」
「じゃあヒントはふあふあかな?」
型を持ち上げて、上から何度か落とし生地を平にしていく。カンカンなる音が少しうるさい。
でも、僕が生地を落とす度にビクッとして僕のエプロンの裾を掴む小さな手が可愛くて、つい必要以上に2回くらい落とした。
「さてと、そろそろ焼くよ?」
セットしておいたオーブンへ、鉄板に乗せた生地を入れていく。温度があっているかは、本を何回も見たから間違いない。
「あー、チョロちゃんやっぱりわかんないよぉ!」
「じゃあヒントその2、クリームをそえて食べる」
そういいながら、あらかじめ冷しておいた生クリームの原液を別のボウルに流し込んだ。