第19章 金木犀の香りはデートの予感?
....ん?!
「なになに!ハロウィンパーティー出席してもいいの!?」
大きく飛び上がった影がのびる。
すっごく嬉しい!嬉しすぎる!
「まー、もしダンス踊れなかったとしても鈴音が笑い者になるだけだし!俺しらねーもん」
こいつ....
ふ、ふん!まぁいい
その発言を後悔させてやるわ!
「ところで、今受け取った薬なんだけどその分ちゃーんと俺の言うこと聞けよ?」
は?その一言にピタリととまる。
「いいか?世の中タダで物が貰えるわけないだろ?」
ええっ、そうですね。
ごもっともですことよ。
....誤魔化すか
「いや知らないし、もう薬は私の手のな.... 」
って、あれ?
手のなかにあった薬をいつのまにか、おそ松が持っていた。
「で?どーする?こ・れ・?」
....ゲスい。
とんでもなくゲスい顔をしている。
このやろういつか、いつか殺してやる。
「わかったよ、んで?なにすればいいわけ?」
仕方ない、ものすごく嫌だが条件を飲もうじゃないか。なんだ、こんなこと前も考えてなかっただろうか?
条件を飲むといったら、にかっと笑う馬鹿松。
ものすごくその笑顔腹立つわーなんて思ってたのもつかの間
「んじゃ、今度は俺の行きたいとこについてくること!」
....本当にヤな奴だよ
どこまでも
「....ラブホ以外ならいい」
「やったねー!にっししっ!!」
鼻の下を擦りながら、嬉しそうに笑う顔が夕日で赤く染まる。
そんな嬉しそうに笑われたら調子狂う。
「手繋いで帰るー?」
「調子乗んな、変態、馬鹿.... 」
差し出された手をはらったそのあと、少しだけおそ松の服の袖をつかむ。
「なにー?袖のがいーの?」
にかって笑う憎らしい顔
別に、今日だけ.... だし
なんて赤くなってるであろう頬を夕日の光の中に隠す。
消しきれなかった金木犀の香りと、セッターが混ざった風が髪をすり抜けた。
こいつはヤな奴だけど、この匂いは
悪くない.... かな....