第4章 緑色の異端な光
「....おしまい」
最後にペロッと傷口を一舐めしてそういった。
「え?もう.... いいの?」
不思議そうな顔をしながら僕をみつめる鈴音ちゃんの髪を、優しく手でといた。
「うん、僕もうお腹いっぱいだから」
嘘をついた....
全然足らない....
もっと欲しい....
僕の本能は悲鳴をあげていた。
それを必死に押さえ込む。
「じゃあ、約束通り治すね」
指先に力を集中させてそっと触れる。
瞬く間に閉じていく傷口をみながら、微笑んだ。
今の僕にはこれで精一杯だ。
「はい!おしまいだよ」
押さえろ、押さえろ....
「ありがとうチョロ松くん」
にこりと微笑まれて、僕は顔を赤くする。
本当にその顔は反則だ。
「いいよ、約束だったし.... あっ、僕やることがあるんだ!だからちょっと部屋出てて欲しいな!」
えっえっ?と慌てる鈴音ちゃんを扉の向こうに無理矢理出してパタンと扉を閉めた。
グラスを出すのも忘れて、置いてあった輸血パックを乱暴にあけた。
口元から血がこぼれ落ちて、喉を伝っていることさえも構わず貪るように一気に飲み干す。
ヴァンパイアが聞いて呆れてくるよ。
自分で自分を笑いながら、ゴミ箱に輸血パックを無造作に放り投げた。