第13章 バスタイムはアロマキャンドルとともに....
ことの始まりはこの一言からだ。
「鈴音ちゃん、最近疲れてるでしょ」
皆が集まる食堂を一人片付けていた時に、ふと後ろからそう言われて振り向いた。
「と、トド松くん.... 」
さりげなーく距離をおきつつ、私はトド松くんの名前を呼ぶ。
油断してはならない、何故ならばこの腹黒ドライモンスターのおかげで散々な目にあったからだ。
馬鹿松吸血事件しかり、桜狂乱事件しかり。
まぁ、この間は助けてくれたけども。
いや待て、あのときはチョロ松くんが一緒だったからだ。
油断してはならない!
どちらにしても!
「そんなに露骨に警戒されたら、僕だって傷つくんだけど....」
ちょっと悲しそうな顔をして、うるっとするトド松くん。
あざとい、あざといよ....
「....あざとい、またなんか企んでるでしょ」
天然の可愛さには弱い私だが、つくられた可愛さには強い。
....が
私の一言に、にこっとするトド松くん。
こ、怖い!たまらなく怖い!
「あーあーバレちゃった、つまんなーい」
ふわっと宙を浮きながら、パチンと指をならす。
ガシャガシャと音をたてて、食器がキッチンの方へ飛んでいった。
「....今、もしかして手伝ってくれたの?」
ふわふわ浮かびながら、くるっと後ろを向くトド松くんを見つめる。
自分が物凄く悪いことをしてしまったんじゃないかと考えてしまった。
「ご、ごめんね」