第3章 紅い唇は背筋を凍らす
痛い、めちゃくちゃ痛い....
本当にこいつ、容赦ってものを知らない。
「ああああぁぁぁぁ!!!!」
悲鳴をあげればあげるほど、その悲鳴さえ楽しむように深く突き立てられる牙。
揺れる視界の中で、私は悲しそうな顔と心配そうに私を見つめる顔を見つける。
一松くんとカラ松だ。
そんな悲しい顔しなさんなよ、一松くん
クッキーすっごく嬉しかった。
怖かっただろうに止めてくれたの嬉しかった。
そんな心配そうな顔すんなよ、カラ松
私あんたのこと、散々ディスッたのにさ....
本当に優しいんだね。
わかるよ
....負けない
口に手を当てて悲鳴を我慢する、痛みは変わらないし、むしろ悪化していってる。
クッソ痛いし、クッソ辛い
笑わなきゃ
口を押さえたまま、にこりと一生懸命笑う。
悲しい顔しないで、心配そうな顔しないで、止めてくれて嬉しかった。
すごく嬉しかった。
だからそんな自分を責めるような顔、二人ともすんな!