第9章 メイドは冥土を統べる
「んっ.... 」
ゆっくりと目を覚ます。
... 黒.... じゃない....
ピンクピンクしたフリフリの部屋だ。
そう例のあの本当に精神を持ってかれる部屋。
「一松くん....?」
あたりを見渡しても、一松くんは見当たらない。
体から香るのは、ラベンダーと一松くんの香りだ。
「体が、綺麗になってる.... 」
気を失った後で、一松くんが色々としてくれたんだろう。
首につけられたガーゼにそっと手をやりながらふっと小さく笑う。
下をみれば、着ている服もかわっていた。
猫耳つきの黒くて大きいパーカーだ。
膝たけくらいまであるやつ。
袖のところに小さく松模様が入っている。
「うん、メイド服より全然いいわ」
猫耳ってとこが、一松くんらしいっちゃらしい。
「それにしても今何時?」
時計をみてみれば5時、夕方じゃなくて朝の5時。
昨日からどんだけ寝てたんだろ、ここにいるとどうも時間とか日にちの感覚がわからなくなってくる。
それにしても
「あーやっぱり、バイトの時の習慣ってどんなに疲れてても抜けないよね」
早朝から働いていたために、5時くらいにはもう目が覚めてしまう。
日本人てさ絶対に仕事中毒だと思うんだよね。
いや社畜か....
んーっと背伸びをひとつして、バスルームに向かう。
もう部屋のこと気にしないようにしよう、気にしてたら精神もたないから....
ガチャっとバスルームの扉を開ける。
相変わらずブラックボックスみたいなバスルームだ。
まぁまだ一回しか使ったことないけど....