第8章 同期、さんにん。
午前4時。
ふと目がさめる。
喉が渇いたので飲み物を取りに行こうとベッドから出れば「ん…」と寝息が聞こえた。
近くに落ちるTシャツとショーツを身につけキッチンに向かう。
冷蔵庫にあったスポーツドリンクを取り出し口に含めば、甘ったるい液体が喉を通っていく。
ー『スイーツの中で私が何が1番好きか知ってる?』ー
そう問うた私に、灰羽くんは答えた。
ー「メープルとか、チョコ…とか?」ー
そう。
普段の私、食事に行った時の行動を見ていれば自然とそちらを思い浮かべるはず。
でもわざわざくれたのは、『職場では隠れて食べていたはずの大好物』。
『これは、たまたま…?それとも……』
期待しちゃう自分が嫌だ。
私はもう、灰羽くんの…リエーフくんの彼女。
私はペットボトルの蓋を開け、いきおいよく飲み干す。
快感の足りない火照る身体が内側から冷やされていく。
お姫様みたい…だったな。
「梢、きもちいい?」
自分の快感ではなく私のことをいっぱいいっぱい考えてくれる。
私の名前を呼んで、
優しく触って、
目が合えば笑う。
そんな優しいセックス。
女として、嬉しくないわけがない。
「はぁ…」
ペットボトルの中身を飲み干すと、私は台所に空のペットボトルを置いて、ベッドに戻る。
幸せそうに眠る横顔に私はそっと唇を寄せた。
自分が幸せなんだと再確認するために。