第8章 同期、さんにん。
side月島。
及川さんに邪魔されてろくに酔えないままの帰宅。
部屋の電気をつければいつもと変わらない部屋。
しゅるりとネクタイを外しソファに座り込む。
ふと、サイドテーブルを見れば可愛らしいメモ。
小さな丸っこい字で書かれた”帰ります。”の文字。
見たくない。
僕はそれを握りつぶすとゴミ箱に投げ捨てた。
風呂にでも入るか。
服を持ち脱衣所に向かう最中、カツンと何かを蹴った。
それを目で追えば、キラリと光る…ピアス…?
しゃがみ込み拾えば、チェーンにつながったシルバーのハートが揺れる。
昨日の拍子に取れたのか…?
手のひらに乗せきゅっと握る。
「くそっ…」
なくしてもなくしても解けない繋がりに苛立ちを覚えながら、僕はピアスを握りしめ、風呂場へと歩いた。