第8章 同期、さんにん。
side灰羽。
急に頬を両手で挟まれる。
「ふへ?」
『よそ見禁止。他のこと考えないで?』
つ…
細くしなやかな梢の指が俺の身体の中心をなぞる。
喉仏から胸骨をなぞり、腹部へ。
スウェットのゴムの所で指を止めると、目線を下に下ろしたまま、梢は口を開いた。
『私、月島くんに抱かれたよ。』
『何度も。』
『リエーフくんに言えないようなこともした。』
下を向いていた顔が上がる。
瞳が俺を捉える。
『それでも…私のこと……好き?』
「好きだよ。」
小さな身体を胸に抱きとめた。
「出会った時から。初めて話したときから。」
「俺のものになってほしいって何回願ったかわからない。」
「梢が笑ってくれるなら俺、なんでもする。」
心の内を吐露すれば、梢は俺の耳に吐息と一緒に言葉を吹き込む。
『抱いて。忘れさせて。』
梢の心には俺だけいればいいんだ。