第8章 同期、さんにん。
side灰羽。
キッチンからベッドに移動する。
恥ずかしいのか梢は俺のTシャツの胸元に顔を埋めている。
「下ろすよ?」
『ん…』
ぽふん
互いに見つめあうとどちらからともなく唇を寄せ合った。
最初は触れるだけ。
少しずつ、少しずつ深まる口付け。
俺の舌が歯列をなぞれば、梢は口を開き、自らの舌を俺の舌に絡めてくる。
口の隙間から漏れる舌が絡まる音と梢の吐息で、俺の息子は早くも頭をもたげている。
そっと唇を離すと、先ほどの泣き顔とは打って変わった真っ赤な顔。
目は涙で潤み、とろんとしている。
『リエーフ…くん。』
「梢…可愛い。」
つんっと鼻先をつつけばふにゃりと笑う梢。
『ね?脱がせても…いい?』
「梢がしたいようにしていいよ?」
俺は子供が服を脱がされるように万歳をすると、するりとTシャツが脱げていく。
瞑った目を開けば上目遣いで俺を見つめる梢。
その目には「俺」が映っている。
そうだ。
月島じゃない。
俺だ。
その事実に俺は、心の中でほくそ笑む。
あいつには梢は渡さない。