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HQ商社 営業3課へようこそ!【HQ】

第8章 同期、さんにん。


side灰羽。

『ごちそうさま。』
「あまり凝ったもの作れなくてごめんね?」
『ううん。うどんおいしかったよ?』

食べた2人分の食器を持ち、キッチンに移動すると、梢も俺の後を追いかけて来る。

「どうしたの?」
『なんか甘いもの食べたくて。』

パジャマ代わりの大きめのTシャツから見える鎖骨だったり太ももだったりが色っぽい。
俺は目をそらし洗い物をする。

梢は風邪ひいてるんだ。
無理はさせられないよ。

『ねえ、灰羽くん…』
「何?」
『これ、買ってきてくれたのって灰羽くん?』

梢の持っているものを見れば、小ぶりの杏仁豆腐。

「ううん。それ、月島がお見舞いにって。」

カチャカチャ
食器を洗う音が響く。

洗い終わり、梢の方を見ると……

泣いてる⁈

「どうしたの⁈梢‼︎」
『なっ…なんでもないっ…』
「なんで泣いて『スイーツの中で私が何が1番好きか知ってる?』

涙声で問われた質問。

「メープルとか、チョコ…とか?」
『だよね…スプーン、貰ってもいい?』

スイーツ用の小さなスプーンをしゃがみこんで渡すと梢は文字通り飲むように杏仁豆腐を食べ尽くす。

どさりっ

「うわっ‼︎」

一瞬の衝撃。
フローリングに尻餅をつくと覆いかぶさる小さな影。
びっくりする俺をよそにふわり、香るシャンプーの香り。
気づけば、びっくりするほど近いところに顔があり、ふにっと触れるだけのキス。

『うつしちゃうかな…風邪。』

真っ赤な顔で呟く梢が可愛くて俺は梢の頬に口付ける。

「看病…してくれるんだったら…いいよ?」
『じゃあ…して?キス…』

先ほどの質問の意図も、泣き出した理由も、誘う理由もわからない。
でも、俺は梢が望むがままに唇を重ねた。

ちゅっ、ちゅっと吸い付くように唇を合わせる。
梢が瞳を閉じればほろりと雫が転がる。
それを舌先で転がせば梢はふにゃりと笑う。

「…ねえ、梢、しても…いい?」
『灰羽くん…リエーフくんの好きにして?』

名前を呼ばれたことに感動を覚え、ぎゅっと梢を抱きしめる。

「じゃあ、ベッドいこうか…」

こくり、頷いた梢を確認し、俺は梢を抱き抱えた。

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