第8章 同期、さんにん。
side灰羽。
月島に荷物を渡された後、俺はまっすぐ自分の部屋に帰った。
そして明日の準備をし、スマホの充電器と月島に渡された袋を手に家を出る。
そして、梢の家に向かう。
あらかじめ借りていた鍵で家に入れば梢は布団の中で寝息を立てていた。
月島に渡された袋の中身を冷蔵庫に入れていると小さな声が聞こえた。
「梢?」
『はいば…くん?』
むくり
体を起こした梢。
「体は大丈夫?」
『うん。すっかり元気。』
俺に微笑みかける顔はすっかりいつもの顔だ。
布団から抜け出た梢はぺたぺたとフローリングを鳴らしながら俺に近づきぽふりと抱きつく。
『月島くんに言ったみたいだね?付き合うことにしたって。』
「言ったよ。」
ぎゅぅぅぅぅっ
抱きつく手に力が入る。
『言われちゃった。
私、もういらないって…』
震える声、肩、腕。
そっと背中に手を回し幼子をあやすようにぽんぽんと背中をさすった。
「大丈夫。俺がいる。」
首だけでこくりとうなづく梢。
頭をそっと撫で、俺は強く梢を抱きしめた。