第8章 同期、さんにん。
side月島。
就業後、僕はさっさと帰ろうとする灰羽に声をかけた。
すると灰羽は僕を見ないで声を発した。
「なに…」
「椎名サンに…お見舞い、渡してほしい。」
「…わかった。」
外に出れば久々の晴れ間。
橙の光が街を照らしていた。
そのままコンビニに寄り、いろんなものをカゴに放り込む。
スポーツドリンク、プリン、おかゆ。
風邪の時に必要なものを一通り。
会計の時にふと横を見る。
「すいません…これも。」
そういい、僕はあるものをかごに入れた。
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ウィーン
自動ドアを抜ければ目の前のガードレールに腰を下ろす灰羽。
「これ。」
「わかった。」
最低限の言葉を交わし、灰羽は駅内に、僕は会社とは反対側に歩き出した。