第7章 梅雨。
狭い空間に水音が響く。
私は月島くんにすがることしかできず、月島くんのワイシャツにシワを作る。
崩れ落ちそうな体。
月島くんの足が私の足の間に差し入れられ
床に座ることを
逃げることを
拒否している。
最寄りの階に着いたことを知らせる音が鳴ると、すぐに唇が離れた。
崩れそうになる私の身体を月島くんが支えてエレベーターから降りる。
「ホント、感じやすいよね…梢は。」
『そ…なこと…』
強がって言えば、体を支えていた手はするりと抜け、私はその場に尻餅をついた。
「腰抜けてるクセに…」
否定の言葉を吐こうとして…止めた。
何を言っても無駄だから。
よろりとふらつく足腰を無理やり立たせようとすれば目の前から伸びる手。
「床に転がっていたくないデショ…」
床に転がしたのは誰よ…という言葉を飲み込み、お礼を言う。
1階奥にいる守衛に声をかけ、裏口を開けて貰えば先ほどまで降っていた雨は止み、ちょうど晴れ間が出ていた。
歩いて数分。
駅前のファミレス。
比較的空いていた店内の広めの席に通された私達2人。
ドリンクバーを頼み、灰羽くんを待つ。
さりげなく太ももを触る手はぱちりと叩かせていただいた。
何回も同じような目にあってたまるか。