第6章 GWのお出かけ。
信号待ちの集団がざわりとざわめく。
『月っ…しまく…』
「離さないよ。」
灰羽くんに見られてしまうかもしれない。
胸元をぐいと押すが片手が捕らえられていてろくな抵抗ができない。
いつのまにか私の口内には舌が入り込み、私を犯す。
周りから見られているという羞恥と
灰羽くんに見られているかもしれないという恐怖と
口内を騒ぐ月島くんの舌から導き出される快感がぐちゃぐちゃに混ざって
頭が真っ白になる。
人の波が動き出す。
それに気づいた月島くんは唇を離し、私の手を引き、歩き出す。
頭がふわふわして月島くんに引かれて歩くのがやっと。
かくんっ
膝の力がぬけアスファルトに倒れ込みそうになる。
気がつけば私は月島くんに肩を抱かれていた。
横断歩道を渡りきると灰羽くんが駆けてくる。
「梢!…どうしたの?」
「人混みに酔ったみたい。大丈夫?」
『だい…じょうぶ…』
「大丈夫には見えない。少し座って休もう?」
そういうと灰羽くんも私の体を支え、道の端に連れて行かれる。
「俺どうせ家隣だし送っていくよ。」
「隣?」
「うん。道挟んでとなり。」
「へえ…じゃあお願い。」
「わかった。梢、歩けそう?飲み物買ってこようか?」
心配そうな顔をして私を見る灰羽くんに申し訳ない。
「水分取ったほうがいいと思うし、ミネラルウォーター買ってくる。」
そう言って灰羽くんはコンビニのある方へ走って行った。