第6章 GWのお出かけ。
「楽しかったなー。」
『アシカかわいかったねー。水槽の中ぐるぐる回ってて。月島くんはどうだった?』
「まあまあ…カナ?」
水族館を見た後、エレベーターで商業施設のある階まで降りてきた。
「うわ…もう2時か。腹減ったな。」
「だね。いくら休日でもそろそろ空いてきてるんじゃない。」
『そうだね。レストラン街は…』
「こっち…」
壁際にあった地図を見るため歩き出そうとした私の腕を月島くんが掴み、そのまま歩みを進める。
手をつなぐ…とまではいかないが、触れている事実に少しだけ顔が赤くなる。
『こっちなんだね?ちゃんとついていくから大丈夫だよ?』
そういうと月島くんはふう、と息を吐く。
「椎名サン、小さいから人混みに紛れそう。」
「あ!月島ずるい!俺も梢と手つなぐ!」
途中から割り込んできた灰羽くんが空いた手を繋げば、私は両親に手をつながれた子供…いや、囚われた宇宙人のような状態に。
『さすがに…恥ずかしい…です。』
「いーじゃん!仲良しみたいで!」
「だって…?」
きっとこの2人、何言ったって離してくれないんだろうな…
2人の顔を見ればそれがわかる。
「じゃあ行こうか。」
「だな!」
両脇の2人に連れられ、私は商業施設の通路を歩き出した。