第6章 GWのお出かけ。
「つーいたー!」
「灰羽、うるさい。」
『まあまあ…』
ついたのは都内の有名な屋上にある水族館。
アウトドアな灰羽くんにインドアな月島くん。
散々行く場所に迷ってやっと決まったのがここだった。
『じゃあ入ろっか?』
私の掛け声で2人は水族館内に歩を進めた。
ーーーーーー
「うわー!すっげー!梢見て見て!」
『灰羽くん!ひっぱんないでー!』
始終ハイテンションの灰羽くんにひきずられるようにして進んでいく私。
月島くんは少し後ろをゆっくりついてくる。
「こいつ可愛くね?」
そういう灰羽くんの指の先にはカクレクマノミ。
「なんだっけ?ニモ?」
「カクレクマノミ。」
後ろから月島くんの声。
「へー、そんな名前なんだー。じゃあこれは?」
ドリー!と灰羽くんが指をさす熱帯魚。
月島くんはすこし考えた後ぽそりと呟いた。
「ナンヨウハギ…」
『クマノミは知ってたけどこの子ってナンヨウハギっていうんだ。月島くん、物知りだね?』
「…別に?」
ぶっきらぼうな言い方。
でも、少しだけ頬が赤い。
「じゃああれは?」
灰羽くんは気になる魚をみつけ、月島くんに聞きに行く。
出口までずっとそんなやり取りが続けられていた。
私は、笑いながらそれを後ろから見ていた。
たまに私の足が水槽の前で止まると、2人は気づいて待っていてくれる。
なんだかそれが嬉しかった。