第1章 入社式。
私と灰羽くんが握手を交わしたあとすぐ、会場では配属された課ごとに整列することに。
オレンジが3人。
青が2人。
赤が2人。
ピンクは1人。
そして、白は私を含む3人。
私、灰羽くん。そして、メガネで高身長、明るい栗色の髪の月島くん。
顔を合わせたときに会釈したが無愛想に「どうも…」と返されただけ。
これから大丈夫かなぁ…
ーーーーーー
式はつつがなく終わり、同じ会場で先輩達と立食パーティ。
事務以外では女性社員は私だけということで自分の課の先輩以外からも声をかけられる。
「ねーねー。俺、4課の及川。及川さんって呼んで☆」
「不用意に絡むんじゃねー!クソ川!」
「岩泉ぃ。及川どっか連れてって?新人ちゃん困ってんベー?」
「スガ…さりげなく自分のメシに七味山盛りにするのやめろ…
新人じゃなくても引く…」
「えー!こっちの方がうまいんだもん。大地も食べる?」
「遠慮しておく。ひげちょこにでも食わせろ。」
「ええっ‼︎俺⁈」
「東峰くんじゃなくても断るって…」
「あ、夜久くん食べない?」
「無理だって!そんな真っ赤なの食べれないって!」
目の前で繰り広げられる先輩達の会話に1人あわあわとなっていると、突然後ろに引かれる。
「うちの課の新人虐めないでくれる?
困ってんじゃん?」
黒のアシンメトリーの髪の毛。
きゅっとつり上がった目。
着崩したスーツ。
ニヤリとした口元。
胸元についた白い花が同じ課の先輩だと教えてくれた。
「黒尾、他の新人は?」
「夜っ久ん。大体色ごとに揃ってるから早めに回収しなよ?」
「おう。サンキューな。」
そういうと、黒尾と呼ばれた先輩は私の肩を抱き「こっち」と言いながら私をどこかへ導く。
「名前…椎名…」
『椎名 梢です。よろしくお願いします。黒尾さん。』
「あれ?俺名前…」
『さっき、やく?さんがお名前を…』
不思議そうな顔をしていた黒尾さんはああ、と納得したような声を上げた。
「よろしくな、椎名。」
そういうと黒尾さんは私の頭に手を置き、ぐしゃぐしゃと頭を撫でた。