第5章 ゴールデンウィークの予定は
駅から10分。
シンプルな外観のマンションの3階の1番端っこ。
そこが月島くんのお家。
「入って。」
そう促され私は、小さな声で「お邪魔します。」と呟くと、パンプスを脱いで中に入った。
シンプル。
無駄なものがない。
そんな印象の部屋。
「適当なところ座って?コーヒーと紅茶、どっちが好き?」
『あ、紅茶…』
1LDKの室内の真ん中に置かれたガラスのサイドテーブル。
その近くにそっと座れば、準備を終えた月島くんがカップを持ち、近づいてくる。
「どうぞ。」
そういうと、月島くんはカップをサイドテーブルに置いた。
『あり…がと…』
カップを手に取り、一口口に含むとほわり、と体に染み渡る紅茶。
ふう
自然と息がもれた。
「落ち着いた…?」
その言葉にハッとする。
がちがちに力の入っていた体は、先ほどより少しだけその緊張を緩めていた。
『うん…ありがと。』
だからか、私はふわり、月島くんに微笑んだ。